Brand Design Lab

研究室の最先端手法 Framework 1.
 

ブランドプロポジション -顧客から見た自社の存在理由を設計せよ-

1.ブランドとは約束である

「ブランド」という言葉について現在も様々な捉え方があるようですが、「ブランドとは顧客に対する約束である」というブランド定義に異論を唱える人はいないでしょう。ただし、ここで問題が発生します。「我々は顧客に対して何を約束すべきか?」という問題です。

2.顧客は何に対して対価を支払っているのか

 もし、あなたが「安全で高品質な製品提供を約束する」と言うのなら、次の質問に答えてみてください。「顧客にとって安全で高品質な製品を消費することは、目的ですか?手段ですか?」、「安全で高品質な製品を通じて、顧客は何を実現しているのですか?」といった質問です。この質問に答えるためには、顧客からみたブランド定義が必要になります。

3.顧客にとってブランドとは顧客自身の目的を実現するための手段である

 顧客にとってブランドとは顧客自身の目的を実現するための手段です。顧客は顧客自身の目的を実現するために対価を支払っています。製品に対して、技術に対して、イメージに対して支払っているのではありません。製品を通じて、技術を通じて、イメージを通じて実現される顧客目的に対価を支払っているのです。そして、我々のビジネスは顧客から対価をいただいてはじめて成り立っています。したがって、対価をいただくためにブランドが顧客に約束すべきは、「我々は顧客のどのような目的を実現するのか」ということなのではないでしょうか。

4.顧客に対する約束を「ブランドプロポジション」として設計せよ

ブランドプロポジション

 私たちブランドデザインラボでは、ブランドが顧客に対して果たすべき約束を「ブランドプロポジション」として設計します。これはノーベル経済学賞を受賞したH.A.Simonの意思決定原理に基づいています。Simonによれば、人間の意思決定原理は次の3ステップで説明されます。

人間の意思決定原理

この原理をマーケティングに適用すると、購買行動を動機付ける条件として

  1. 現状との乖離が十分に確保された顧客目的の実現
  2. 当社ブランドこそが顧客目的を実現する手段として相応しい理由

という2点をブランドプロポジション設計する際に満たす必要があります。要するに、「我々は顧客のどのような目的を実現するのか?」「我々はなぜその目的を実現することができるのか?」という二点を明記したものがブランドプロポジションといえます。

 顧客に対するブランドメッセージには、製品特徴を単に並べているだけの訴求が少なくありません。製品特徴はブランドプロポジションでいうところの実現根拠欄に記述されるものですが、これだけでは顧客が対価を支払う理由になっていないことがお分かりいただけると思います。つまり、市場に溢れるブランドメッセージは、購買行動を動機付ける力に欠けるものが少なくありません。

5.全ての企業戦略はブランドプロポジション設計から始まる

 最後に、ブランドプロポジションについてまとめましょう。ブランドプロポジションとは、H. A. Simonが提案する意思決定モデルを消費者の銘柄意思決定行動に適用したものであり、「我々は顧客のどのようなゴールを実現するのか?」「我々はそのゴールをなぜ実現できるのか?」といったことを明文化したものです。

 ブランドプロポジションの考え方は「顧客にとってブランドとは顧客自身のある目的を実現するための手段である」というブランド定義に基づいています。そして、顧客は自身の目的を実現するために対価を支払っていることから、ブランドプロポジションにおける理想状態欄は対価の源泉が記されたものであるといえる。そして、理想状態の内容によって、企業が顧客からいただく対価の大きさは変動することになります。

 ブランドプロポジションにおける実現根拠欄は、我々こそがその理想状態を実現するに最も相応しい理由をもっているということが記されます。我々なくしてあなたの目的実現はありえないといわんばかりの強い理由であることが望ましいことになります。したがって、ブランドプロポジションとは顧客からみた自社の存在理由を明記したものであるといえます。

 ブランドプロポジションとは顧客に対してのみならず、自社内に対するメッセージでもあります。顧客に対して果たすべき約束としてブランドプロポジションを掲げたのならば、この約束を果たす責務を負うことになります。顧客を裏切る行動は一瞬にしてブランドを崩壊させます。築き上げることは多大な努力を長期にわたって必要をしますが、壊れるときは一瞬です。今後のさらなるブランドプロポジション高度実現に向けて、社員一人一人が考えて行動することを促します。つまり、掲げたブランドプロポジションの高度実現に向けて、自社ならびに社員一人一人に「やるべきこと」と「決してやってはいけないこと」を明示します。

以上のことをまとめると、ブランドプロポジションとは

  1. 顧客から見た自社ブランドの存在理由を明示したものである
  2. 対価の源泉を明示したものである
  3. 今後のさらなるブランド発展に向けた意思決定基準を与えるものである

といえます。ブランドプロポジションは企業のすべての戦略的行動に全体方向感を与え、PDCAマネジメントサイクルの中核コンセプトを成すものです。「すべての企業戦略はブランドプロポジション設計からはじまる」といっても過言ではないでしょう。真に効果的なブランドプロポジションの設計こそが成功への鍵といえるのではないでしょうか。

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